10月例会報告
去る10月31日、ケーススタディ編(ソーシャルワーカーの当事者研究編)第三回を開催しました。
今回の発表担当の池原さんは、定例カンファレンスで発表するのは、昨年に続いて二回目となります。ソーシャルワーカーが管理者となっていく過程において抱えるさまざまな思いを聞けるということで、今晩もたくさんの卒業生が集まってくださいました。池原さんの、率直な語り口が、参加者みんなをひき付けました。誰もが、社会福祉の現場で働く喜びを改めて問い直し、再認識したひとときになったのではないかと思います。
●報告者 池原智和さん(1999年卒 通所介護事業所・居宅介護支援事業所・地域包括支援センター 所長 社会福祉士・介護支援専門員)
●報告テーマ「管理監督者にとってソーシャルワークを実践し続けるとは?~組織、職員と関わり続けるということ~」
●参加者 13名
(精神科病院、一般病院、老人保健施設、障害者通所施設、公務員福祉職などとして勤務する社会福祉士、精神保健福祉士など)
●当日の風景
当事者研究は、事前にまとめてきた資料をもとに、まずは報告担当の池原さんから40分ほどかけて、じっくり報告されました。
今は、3つの事業所の所長として管理する立場についている池原さん。資料に書かれているキーワードには、「折り合いをつける」「約束」「誠実さ」「創り出す」などの言葉が挙げられ、管理監督業務とソーシャルワーカーであり続けることのさまざまな葛藤が語られました。
みんなからは、いろんな感想や質問がどんどん湧いてきました。
「措置の時代と介護保険に突入した時代と、どう違いますか?」
「所属部署は愛せるのですが、組織となると愛せないところもあるんです」
「数年先を見ながら仕事をするということに、今日気づきました。」
「今日の報告を聞いて、管理者になりたくなってきました。
「池原さんが部下の時代、どんなんだったんですか。」
そして、池原さんからも参加者にぜひ聞いてみたい問いかけが語られました。
「役職者になって、どんなことを実現してみたい?!」
池原さんから参加者に提案された、ソーシャルワーカーであり続けるための取り組みは4点ありました。一つは常に自分で考えるという姿勢を持ち続けること。第二に、情報には貪欲に、そして学習を惜しまないこと。第三に、ご利用者様には常に正直で真面目であること。そして最後は、専門家としてのプライドを持ち、時には捨て、時には懸命に誇示すること。管理者であっても、この姿勢は持ち続けることができることを参加者に示してくださいました。そして、管理監督者になるということは、ある意味、第一線から離れることをも意味しますが、「自分がしなくても、自分がするのと同じような援助実践が展開されることはもちろん、ある程度のサービスの質を一定担保させ続けることが今の私の仕事です」と力強く語っていた姿が、とても印象的でした。
2012年11月21日 更新 カテゴリー:開催報告