私と仕事(保健所で働く精神保健福祉士)
三浦佳子さん(2008年卒)
公務員としての福祉の仕事
私は、公務員福祉職として採用され、現在保健所の精神保健福祉関連の仕事を担当しています。福祉職保健所の根拠法は精神保健福祉法です。業務は主に相談業務と事業の企画運営、その他法律に基づく業務があります。相談業務では、基本的には精神科未受診、治療中断の方の医療相談が中心です。相談者はご本人よりも、ご家族がほとんどで、その他、ご近所の方、警察、関係機関等から様々な相談が寄せられます。
事業の企画運営では、家族教室や関係機関向けの研修会、普及啓発事業などを行います。その他法律に基づく業務としては、精神科病院への実地指導(入院が法律に基づいてきちんとなされているか立ち入り調査を行う)、措置診察の立ち合い業務、心神喪失者等医療観察法に基づくケア会議への出席等、行政らしい仕事もあります。
それぞれの立場にそれぞれの困りごとがある
ご本人不在の状態で、「入院させてほしい」「治してほしい」とご本人の周囲の人たちが必死に訴えてこられる相談も多くあります。確かに、困っていることは十分に理解できます。でも、“どんな状態でも治療は本人に受ける選択権があるべき?”それとも、“本人が治療について正しく理解できない時は無理にでも治療を受けさせることが本人のため?”と、正解がわからず迷うことが今でもあります。また、“普通より変わった人”は病気でなくても精神科の対象と一般的に思われることも多く、「危険だから入院させてほしい」という相談も時々寄せられます。社会の枠にはまらない人を、社会から排除しようとされてしまうことに怒りを感じることも以前はありました。人生経験の浅い自分が、専門職として、行政の職員として、他者の人生の一大事に大きく関わり、影響を与えることに責任を感じます。しかし支援の経過の中で、苦難の中にいるご家族とご本人が、なんとか乗り越えようとする姿の中にキラリと光る眩しいものを感じる時が多々あります。その場面に寄り添い、共に経験させてもらえることにやりがいを感じ、「やめられないなぁ」とついつい思ってしまうのが、今の私の到達点です。
(社会福祉士・精神保健福祉士)
2011年11月9日 更新 カテゴリー:私と仕事