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6月例会報告

6月例会報告

 去る6月20日、「私のケース討議」編二回目が開催されました。今回も多くの卒業生が仕事終わりにかけつけてくださいました。「毎回の参加は無理かもしれないけれど・・・」と、大阪、兵庫からの参加者もありました。いつでも、好きな時に顔を出していただける場ですので、ご自分のペースで活用していただければと思います。

●ケース担当 小西男さん(2010年卒  公務員福祉職 社会福祉士)
●ケース教材 「気がつけば、この仕事に就いていた」
●参加者 14名
(一般病院、大学病院、精神科病院、知的障害者通所施設、公務員福祉職など所属の社会福祉士・精神保健福祉士、特別支援学校教員、看護学校学生など)

●当日の風景
 自己紹介から始まり、いつものように、ディスカッションリーダーがケースを朗読し、ケース教材をみんなで読み合わせた後、三つのグループに分かれてグループ討議をしました。一つのグループにホワイトボードが一枚ずつ。本日用意された問にそって、まずはウォーミングアップとしてスモールグループで自由に討議を行いました。

4.5人ずつのグループ。ケース提供者も混ざって討議します。

 いつもは同じ職場で働く先輩、後輩も、グループ討議では対等に、真剣に、自由に、意見を出しあいます。慣れない・・とつぶやきながらも、参加者がグループ討議の司会をしながら、メンバーの意見をひとつずつホワイトボードに書き上げていきます。

人の生死に遭遇するかもしれない責任ある仕事・・・思わず立ち上がって意見を述べる姿も。

 この後は、全員での全体討議に移っていきます。スモールグループで発言したこと、あるいはその意見を発展させて思いついた新たな意見などを参加者全員の場で披露していきます。ケース提供者の小西さんにちょっと聞いてみたい質問も自由に投げあいながら、問いに対する自分なりの意見「こんな時、私だったらこうしていると思う・・・」という発言が今日も途切れなく溢れてきました。

 全体討議の最後に、ディスカッションリーダーより、今日の討議計画に基づいて用意されていた「討議の着地点」が披露されました。今日は、小西さんのケースを通して、現任者にとっての定例カンファレンスの意義について考えてみました。春に新たなメンバーも増えたこともあり、定例カンファレンスが卒業生のみなさんにとってどのような意義があるのかを仕切り直して考えるよい機会となることを期待し、事前に討議計画を組み立てていました。。
 参加者とともに討議を通して学びの共同体を築いていくこの場は、ケース教材と問いを手がかりに、「自分は今、どこにいるのか」「みんなはどこでどんなことを考えたりしているのか」などの俯瞰をひたすらにくり返す場であるといえます。メンバーとの討議を対象化し、吟味することを通して、「わかり直すことの重要性」(苅宿俊文 2012:113)を感じる場であるのではないか・・・討議計画ではこんなことを意図して今日の討議の着地点として用意していましたが、参加者のみなさんはそれぞれどこに、どんなふうに着地されたでしょうか。

コメントを聴く時間は、ソーシャルワークと関連付ける重要な瞬間です

 最後にみなさんの討議をじーっと聴いているコメンテーターから、いつものようにコメントがありました。いつもじっくりと黙ってひたすら耳を傾けている役目のコメンテーターが最後の数分で喋る時間は、今日の討議ででてきたさまざまな意見や心の中に湧いている気づきをソーシャルワークと関連付けて締めくくることができるグループ討議の重要なエンディングの瞬間です。

 そして最後の最後に、ケース提供者の小西さんが、ケースを作成してみて思ったこと、ケース討議に参加してみて思ったことを自由に話します。
  

真剣な討議の後、みんながほっとして心が緩む最後の時間です

 終了後、各自、参加した感想を一言書き残します。今日もあっという間の21時となりました。

●本日の引用文献
苅宿俊文(2012)「まなびほぐしの現場としてのワークショップ」苅宿俊文他編『まなびを学ぶ』東京大学出版

  

2012年6月29日 更新 カテゴリー:開催報告