2月特別講座 大阪アプローズ・タワー出張開催報告
去る2月25日、大阪アプローズタワー13階会場にて、特別講座の大阪出張開催を実施しました。同志社の大阪サテライトの移転期間のため、茶屋町の貸し会場での開催となりました。年度末でお忙しい中、また雨の降る悪天候の中、13名の実践家にお集まりいただきました。京都カンファレンスでおなじみの参加者、久しぶりの参加者、大阪出張開催にはいつも顔を出してくれる参加者、今回初めて参加する卒業生等にご参加いただきました。
●講師 上野哲先生(小山工業高等専門学校専任講師 博士・文学)
●タイトル 「ソーシャルワーカーとしての不適切な判断を減らすための方法論~哲学の理論をヒントに二者択一の見方を乗り越える~」
●参加者 13名(母子生活支援施設、知的障害者通所施設、一般病院、大学病院、精神科病院、保健所勤務の社会福祉士及び精神保健福祉士、小学校教員等)
●内容 ソーシャルワーカーという専門職が、「仕事の際限性の無さ」という特徴をもつことに着目し、私たちは「複数の知識や技術をそこそこ探求した上でそれらを複合・連携した知識を発展的に応用」しながら実践にとりくむ現実があることを上野先生は研修の冒頭で解説されました。そして、ソーシャルワーカーには、「倫理的ジレンマも複合的になるため、多方面に配慮した複雑な判断が不可欠である」であるとして、二つの映像を用いたケース討議を展開されました。一つは、戦場で部下が砲撃を受けた映画の一場面を鑑賞し、「あなたがここにでてくる曹長ならば、打たれた部下に対して何をするか」。もう一つは、ある神父が懺悔の場で生徒の一人が父親から性的虐待を受けていることを知りえた映画のストーリーから3場面を切り取って鑑賞し、守秘義務と職務との間で悩みながらどのような判断を下していくか。合計4つの問いに対する討議を行いました。
4つのグループに分かれての小グループ討議では、参加者だれもが「ああでもない、こうでもない」と唸りながら、集中して討議に取り組みました。特に二つ目のケース討議では、自分がこの神父の立場だったら守秘義務を守りきるのかどうするのかを考えましたが、全体討議で出てくるグループごとの「とるべき行動」の中味、立場がそれぞれに随分と異なることに驚きの声をあげる光景がたくさんありました。
最終的に上野先生が用意していた、複合的なジレンマに直面した時の対応策としては、「できるだけやらないほうがいいこと」「できるだけこだわったほうがいいこと」「できるだけ気をつけたほうがいいこと」の三点に集約されて解説されました。倫理原理にかんするさまざまな文献、事例等をふんだんに盛り込んで私たちを着地点に導いてくださり、大変有意義な2時間となりました。
2012年2月28日 更新 カテゴリー:開催報告